茶研の詞
- casablancafujieda
- 2024年12月11日
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芳花啼鳥摘茶
午後焙炉製茗
黄昏遂本懐達
心境如満天星
詞とは、祝詞でもある茶研の言葉、詩
「茶研」(ちゃけん) という名前を作った後で、茶研の詞も作りました。
これは、茶研の魂であり、心になるものです。
芳花啼鳥摘茶 (ほうか ていちょう ちゃをつみて)
芳しい花が咲き乱れる春、鳥たちの啼く声が山々に響く中で、お茶を摘む
午後焙炉製茗 (ごごに ほいろで よいちゃをつくる)
その日の午後に焙炉を使い、手揉みの最高級茶を作る
黄昏遂本懐達 (たそがれに ほんかいをとげ かんせいする)
心境如満天星 (しんきょうは まんてんの ほしのごとくに)

朝から昼までに手摘みした茶葉を、昼ごはんを食べてすぐに蒸して、冷まして、焙炉で製茶すると、日が暮れる頃に完成するのです。
茶摘みをしている時に
「なんでこんな事を始めてしまったんだろう」 とか
「こんなことに手を出すんじゃなかった」など
地味で単調な作業にウンザリするものの、やり続けているうちに無心になって、気が付くと在る程度の量が摘める。
2kg~3kg 摘んだら昼になるから昼食を摂る。
昼を食べたら休みも取らずに茶を蒸す。
茶葉は蒸す前に暫く風通しの良い冷暗所で寝かせた方が良い場合もあるが、すぐに蒸す事もある。
すぐに蒸したら、すぐに冷やす。
扇風機で風を送り蒸し上がった茶葉を急速冷却する。
この工程の加減と見極めが出来上がりの味を左右する。
蒸したあと冷却し、良く冷えた茶葉を焙炉で製茶する。
この製茶の工程も何段階かあるが、とにかく根気のいる仕事で、体力もいる。
少しばかりの繊細さも必要で、ただ揉めば良いというものではないけれど、基本的には無心で茶を揉む。
これが1時間、2時間、3時間と、合計6時間から8時間かかる。
荒茶と呼ばれる完成の段階になるころ、外は夕焼けも終わり暗くなり始める。
完成した茶を盆に盛って外に出ると、夜空に星が出ている。
時には月が出ている。
ああ、今日も一日終わったなと思うと同時に、今日の仕事、今日の製茶、今日一日かけて良い茶を作ることが出来た、という満足感が全身に漲る。
不思議と疲労は感じたことは無く、充足感に満たされる。
漢詩を推敲してくれた同じ年の中国人女性から教えてもらった。
空に星が輝き、その星の光が明るいと、人の心は静かになるのだと。
このようにして製茶した茶は、精神の栄養になる。
そういう茶を作る喜びがあり、楽しみがある。
喫茶去 2024年12月12日

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